前回に引き続き、北九州市立医療センター認定看護師(クリティカルケア)の増居洋介先生と戸畑共立病院認定看護師(集中ケア)大西翠先生にお越しいただいて実施した、人工呼吸器装着中の看護(全身管理)の講義・演習を紹介します。
9月12日(月)は、気管挿管時の看護を実践し、人工呼吸器の装着体験をしました!
「気管挿管」について、救急医療を扱うドラマなどで見たことがある方も多いのではないでしょうか。
「気管挿管」は気管チューブを患者さんの喉の奥に入れる手技で、呼吸ができなくなって人工呼吸器が必要となった患者さんに行います。挿管の手技自体は医師が行いますが、呼吸が止まっている患者さんに行う手技であり、正確性や迅速性が求められるため看護師の介助が絶対に必要です。
看護師は主に物品の準備や受け渡しなどを行います。ただ物を準備するのではなく、物品に破損がなく適切に使用できる状態かなどを確認しながら準備します。
また、医師が集中して素早く手技を遂行するためにも、看護師が次の手順や使用する物品を予測してすぐに手渡せるように準備しておくことが重要です。
医師の体験もしました。
医師役として、挿管の手技の体験も行いました。医師の立場から看護師にどのように介助してほしいかということを、体験を通して学ぶことも大切な経験です。視界を遮らない、持ちやすい・そのまま挿入しやすいなど、配慮しなければならないことを実感できました。
人工呼吸器の装着体験です。
人工呼吸器は呼吸を助ける機械であり、患者様の回復に必要なものです。しかし、人工呼吸器を装着する治療は、患者さんにとって苦しいことも多いのです。今回、学生は人工呼吸器の装着体験をしました。気管チューブを長時間挿入されていることにより、喉元や口の中に痛みが生じます。また、人工呼吸は機械によって肺に空気を押し込む仕組みのため、機械の設定が適切でないと患者様は無理やり空気を押し込まれているような感覚となり、大変な苦痛を感じます。
「人工呼吸器の体験」は臨床現場などでもなかなかできない貴重な体験です。その体験の中で「患者の立場になって考える。」という経験ができたのは学生にとって、良い学びにつながったのではないかと思います。
胸にバストバンドを装着して、呼吸が苦しい患者を模擬体験します。
この集中講義に参加した看護学生は、全員将来は救急医療の現場で看護師として患者さんを助けたいという夢を持っている学生です。
この2日間の講義を終えて、学生の感想を少しご紹介しますね。
人体の構造が分からないと援助につながらないということがよくわかった。
もう一度、解剖学を勉強しなおします。
・吸引チューブを触ってみると固いものであった。
このチューブを入れられる患者さんの気持ちを考えることができた。
・呼吸リハビリテーションで手を重ねて力加減の指導をいただいたおかげで
とてもわかりやすく、実際に押す力を学ぶことができた。
・新型コロナウイルス感染症の影響で病院実習をしたことが無かったが、
病院実習に行ったかのように、ICUの実際の看護を学ぶことができた。
・目が覚めて、声が出ない、自由に動くことが出来ない
(沢山のルート類が繋がっている)と、
状況がわからなくて戸惑う患者さんの気持ちを考えることができた。
・吸引のリスクを学び、吸引が必要であると判断できることが重要であると感じた。
・人工呼吸器の装着体験で、機械と呼吸が合わないと苦しいということを体験した。
・人工呼吸器は画面の確認だけでなく、患者さんの肩の動きや表情の観察が
重要であると学ぶことができた。
・気管挿管介助では、医師の動きを見ながら連携をとることが大切であり、
スムーズに行えることを学ぶことができた。
・気管挿管の介助では、医師の立場でも考えることができ、
準備や事前確認の大切さを学ぶことができた。
・援助を行う上で、一つ一つに根拠があり、そのリスクも理解したうえで
実施することが大切であることを学ぶことができた。
いかがですか?
数カ月後には社会に旅立ち、看護師としての人生が始まる学生さんだけあって、深い学びができました。大学の勉強って、このように自分の目標を持って、積極的に学んでいくことがとても大切なんです。
きっと、高校生の皆さんも、将来は救急医療現場で働きたいという夢をお持ちの方もいらっしゃると思います。そのような夢をお持ちのあなた、そして看護に興味があるあなた、是非西南女学院大学保健福祉学部看護学科で一緒に学びませんか。
最後に、増居先生、大西先生、2日間ご講義ありがとうございました。