1922年4月18日、西南女学院 第1回入学式が行われました。その日を創立記念日と覚え、例年4月18日に創立記念式を開催してまいりました。今年は新型コロナウイルス感染症の流行で延期され、半年後の2022年10月18日(火)に、北九州ソレイユホールで「創立100周年記念式典」を挙行することができました。
記念式典には、西南女学院のシオン山幼稚園、中学校、高等学校、大学、短期大学部、助産別科の学生や教職員だけでなく、同窓生の皆様、日本バプテスト連盟や日本バプテスト宣教団の皆様、また西南女学院をご支援くださっている後援会の皆様、そして全ての園児、生徒、学生や教職員が安全に安心して学院生活が送れるようご支援くださる協力団体の皆様、西南女学院を大切に思ってくださる数多くのご来賓の方々が、遠方からご出席くださいました。本当にありがとうございました。
式典の最後には、「西南女学院大学100年のあゆみ」として、本学の歴史、キリスト教に基づく女子教育のあゆみについてのスライド上映がありました。上映には、西南女学院中学校・高等学校放送部の皆さんのナレーションと、西南女学院OG率いるキャッキエラ・マンダリンオーケストラの方々の愛らしく華やかな音色も重なり、感慨深い想いに浸ることができました。そして、建学の精神「感恩奉仕」を見つめなおす大切な機会とすることができました。
西南女学院大学保健福祉学部看護学科は全国で22番目、福岡県初の看護系大学として1994年に第1回入学式が行われ、2024年には30周年を迎えます。これからも学生の皆さんが、看護職として、そして自律した一人の女性として多くの学びを得ることができるよう、これからの100年に向けて、教職員一同努力していきたいと思っております。
月別アーカイブ: 2022年10月
今年も、看護学科の4年生が、クリティカルケア看護学で人工呼吸器装着患者の看護を学びました。 Part.2
前回に引き続き、北九州市立医療センター認定看護師(クリティカルケア)の増居洋介先生と戸畑共立病院認定看護師(集中ケア)大西翠先生にお越しいただいて実施した、人工呼吸器装着中の看護(全身管理)の講義・演習を紹介します。
9月12日(月)は、気管挿管時の看護を実践し、人工呼吸器の装着体験をしました!
「気管挿管」について、救急医療を扱うドラマなどで見たことがある方も多いのではないでしょうか。
「気管挿管」は気管チューブを患者さんの喉の奥に入れる手技で、呼吸ができなくなって人工呼吸器が必要となった患者さんに行います。挿管の手技自体は医師が行いますが、呼吸が止まっている患者さんに行う手技であり、正確性や迅速性が求められるため看護師の介助が絶対に必要です。
看護師は主に物品の準備や受け渡しなどを行います。ただ物を準備するのではなく、物品に破損がなく適切に使用できる状態かなどを確認しながら準備します。
また、医師が集中して素早く手技を遂行するためにも、看護師が次の手順や使用する物品を予測してすぐに手渡せるように準備しておくことが重要です。
医師の体験もしました。
医師役として、挿管の手技の体験も行いました。医師の立場から看護師にどのように介助してほしいかということを、体験を通して学ぶことも大切な経験です。視界を遮らない、持ちやすい・そのまま挿入しやすいなど、配慮しなければならないことを実感できました。
人工呼吸器の装着体験です。
人工呼吸器は呼吸を助ける機械であり、患者様の回復に必要なものです。しかし、人工呼吸器を装着する治療は、患者さんにとって苦しいことも多いのです。今回、学生は人工呼吸器の装着体験をしました。気管チューブを長時間挿入されていることにより、喉元や口の中に痛みが生じます。また、人工呼吸は機械によって肺に空気を押し込む仕組みのため、機械の設定が適切でないと患者様は無理やり空気を押し込まれているような感覚となり、大変な苦痛を感じます。
「人工呼吸器の体験」は臨床現場などでもなかなかできない貴重な体験です。その体験の中で「患者の立場になって考える。」という経験ができたのは学生にとって、良い学びにつながったのではないかと思います。
胸にバストバンドを装着して、呼吸が苦しい患者を模擬体験します。
この集中講義に参加した看護学生は、全員将来は救急医療の現場で看護師として患者さんを助けたいという夢を持っている学生です。
この2日間の講義を終えて、学生の感想を少しご紹介しますね。
人体の構造が分からないと援助につながらないということがよくわかった。
もう一度、解剖学を勉強しなおします。
・吸引チューブを触ってみると固いものであった。
このチューブを入れられる患者さんの気持ちを考えることができた。
・呼吸リハビリテーションで手を重ねて力加減の指導をいただいたおかげで
とてもわかりやすく、実際に押す力を学ぶことができた。
・新型コロナウイルス感染症の影響で病院実習をしたことが無かったが、
病院実習に行ったかのように、ICUの実際の看護を学ぶことができた。
・目が覚めて、声が出ない、自由に動くことが出来ない
(沢山のルート類が繋がっている)と、
状況がわからなくて戸惑う患者さんの気持ちを考えることができた。
・吸引のリスクを学び、吸引が必要であると判断できることが重要であると感じた。
・人工呼吸器の装着体験で、機械と呼吸が合わないと苦しいということを体験した。
・人工呼吸器は画面の確認だけでなく、患者さんの肩の動きや表情の観察が
重要であると学ぶことができた。
・気管挿管介助では、医師の動きを見ながら連携をとることが大切であり、
スムーズに行えることを学ぶことができた。
・気管挿管の介助では、医師の立場でも考えることができ、
準備や事前確認の大切さを学ぶことができた。
・援助を行う上で、一つ一つに根拠があり、そのリスクも理解したうえで
実施することが大切であることを学ぶことができた。
いかがですか?
数カ月後には社会に旅立ち、看護師としての人生が始まる学生さんだけあって、深い学びができました。大学の勉強って、このように自分の目標を持って、積極的に学んでいくことがとても大切なんです。
きっと、高校生の皆さんも、将来は救急医療現場で働きたいという夢をお持ちの方もいらっしゃると思います。そのような夢をお持ちのあなた、そして看護に興味があるあなた、是非西南女学院大学保健福祉学部看護学科で一緒に学びませんか。
最後に、増居先生、大西先生、2日間ご講義ありがとうございました。
今年も、看護学科の4年生が、クリティカルケア看護学で人工呼吸器装着患者の看護を学びました。 Part.1
9月7日(水)、9月12日(月)に、北九州市立医療センター認定看護師(クリティカルケア)の増居洋介先生と戸畑共立病院認定看護師(集中ケア)大西翠先生にお越しいただいて、人工呼吸器装着中の看護(全身管理)の講義をうけました。
クリティカルケアとは、生命の危機的状態(クリティカル期)にある重症患者に対して行われるケアを指します。 生命の危機的な状態は病院の中で起こるわけではなく、例えば交通事故や突然の心停止のように、私たちの生活の場でいつでも、どこでも、誰にでも起こる可能性があります。そして認定看護師とは、特別な研修と試験を受けて、専門性が高く難しい看護技術を実践できると認められたスペシャリストナースのことを指します。
9月7日(水)、まずはしっかり講義で人工呼吸器装着患者の学びを深めました。
講義では、人工呼吸器という器械を使用している患者さんを想定し、まずは人工呼吸器の基礎知識を学びました。さらに、自分で痰を出すことができない患者さんの痰を取り除く「吸引」方法などについて学びました。基本的な吸引の勉強は2年生で学んでいますが、今回の「人工呼吸器を装着している場合の吸引」はその応用で、技術も難しくなります。これまでの基礎的な知識・技術を応用した看護を学べるのも、4年生の講義ならではです。
講義中には、人工呼吸器管理に使用する「気管チューブ」を実際に触れてみました。
このチューブを患者の喉に挿入し人工呼吸器と接続します。
実際に器材に触れることで、「このような管が喉の奥まで入っていると痛いだろうな…。」などと想像を膨らませることができました。
空気の通り道を確保する気管チューブを、テープを用いて固定してみました。
講義の後は演習です。
「気管チューブ」が喉から抜けてしまうと、呼吸が出来なくなり生命に危険が及びます。「気管チューブ」を挿入するのは医師が行いますが、この「気管チューブ」が抜けないように、専門的な方法で患者さんの口元にテープで固定します。「気管チューブ」の抜けを予防して患者様の安全を守るのは、看護師の大切な役割の1つです。
しっかり固定ができるように、認定看護師の指導を受けながら何度も練習しました。
一見するとテープを貼るだけの簡単な作業にも見えますが、苦痛が少なくなるように、かつ管が抜けないように貼るには、正しい方法と工夫が必要です。
次に、呼吸リハビリテーションの体験です。
手術後や、人工呼吸器を装着されている患者さんは痰がたまりやすい状態になります。肺に痰がたまったままにしておくと十分な呼吸が出来なくなったり、肺炎になったりしやすくなります。そのような合併症を防ぐためにも、痰を効果的に出し、深い呼吸を促すなどの予防が重要となります。その予防法の1つが呼吸リハビリテーションです。今回はそのリハビリテーションを学生同士で実施しました。実際に患者体験を行うことで、どのように援助を行うと、呼吸を楽に行うことができるのか学ぶことができました。
患者と看護師の両方の体験を体験すること、そしてペアの学生とお互いに指摘しあうことで、手技は上達していくことでしょう。
この演習経験は次回のpart2に続きます!