西南女学院大学・大学短期大学部では、イエス・キリストのご降誕を祝って、毎年12月にクリスマス礼拝が行われます。
今年は西南女学院創立100周年を記念して、西南女学院中学校・高等学校、大学、大学短期大学部による合同クリスマス礼拝が12月15日(木)に北九州ソレイユホールにて行われました。
今年1年の世相を示す、“今年の漢字”は「戦」でした。西南女学院では、今なお世界中で続いている紛争や飢餓、自然災害などで苦難の中にある人々に心を寄せ、共に祈りを捧げる時を過ごしたいとの思いから、今年のクリスマス礼拝のテーマを『平和の祈り』としました。
会はパイプオルガンとピアノの厳粛な演奏から始まり、人文学部の学生さんによる日本語、英語、中国語、そしてウクライナ語での、聖書「ルカによる福音書2章14節」の朗読が行われました。
そして、ウクライナから留学しているマリア・ダシュケビッチさんの、素晴らしい日本語による平和のスピーチ。祖国の情勢から、胸が張り裂けそうな思いであろうマリアさんの笑顔と明るい声による祈り言葉は、私達の心の琴線に触れるものでした。マリアさんが一日も早く、平和な祖国に戻れますように。
そして、中学校・高等学校、大学、大学短期大学部による「イエス・キリストの生誕物語」の劇が行われました。同じ学び舎の生徒・学生・教員が、限られた時間の中で課外に集合し協力しながら一つの劇を作り上げ、披露できたことで、西南女学院はより強い絆で結ばれたに違いありません。
舞台裏には演技が終わった出演者達の達成感満載の笑顔がありました。
ゲスト講師として、西南学院大学前理事長・前学長のG.W.バークレー先生をお招きし、「希望の灯」というテーマでご奨励いただきました。
バークレー先生から、世界中で苦しんでいる方々、希望を持てない方々に思いを置き、私たち個人個人が今一度考え、それぞれが希望の灯を見つけることができるようお祈りする、大切な機会をいただきました。
さらに、ソプラノ歌手である福祉学科の金谷めぐみ先生による心震わす「アヴェ・マリア」をはじめとする3曲の独唱と、聖歌隊やハンドベルの学生による「O Holy Night」の合唱、オルガン奏者福田めぐみさんのパイプオルガン演奏、最後は讃美歌「天にはさかえ」を参加者全員で賛美し、感動の中終演となりました。
今、この時間にも世界中には困難な生活を余儀なくされている方がたくさんいらっしゃいます。
そんな皆様に、少しでも希望の灯と平和への祈りが届きますように。
心穏やかで幸せなクリスマスとなりますように。
Merry Christmas!
月別アーカイブ: 2022年12月
「看護のための臨床検査」演習のひとコマを紹介します。
病院で、患者様はさまざまな検査を受けます。看護師は、患者様が安心してスムーズに検査を受けられるようにする役割があります。看護学科2年生の「看護のための臨床検査」では、安全、安楽、正確な検査を支援する演習を行います。
この講義では、検査方法、検査体験だけでなく、看護師として患者様をどのように援助するかを学び、考えることを目標にしています。
今回は先日行われた、①スパイロメトリー、②尿検査、③12誘導心電図という、3種類の演習の様子をご紹介します。
①スパイロメトリー
スパイロメトリーとは、肺活量や息を吸う力・吐く力などを調べて、呼吸状態に異常がないか調べる検査です。鼻から空気が漏れないようにクリップで鼻をつまんだ状態で、筒状のマウスピースを隙間ができないようにくわえて検査します。
一見簡単そうに見えますが、ゆっくりと呼吸したり、胸いっぱいに吸い込んでから勢いよく息を吐きだしたり、息を吐きだせる限界まで吐ききったりと、意外とコツが必要です。それに加えて、肺の病気やぜんそくなどを抱えている患者様であれば、呼吸状態に影響して咳や疲労、嘔吐を引き起こしてしまう可能性も考えなくてはなりません。
今回は、新型コロナウイルス感染症対策のため、実際の体験は自宅にマウスピースを持ち帰って「事後課題」としました。演習室では、検査機器を見たり、検査方法や検査結果の見方について解説を受けたりして、正確な検査結果を得るための学びを深めました。
事後課題では、体験を通して「普段何気なく行っている呼吸も、マウスピースを加えた状態で意識的に息を吸ったり吐いたりするのは難しい」、「隙間ができないようにくわえること自体が難しい」ということに気づき、患者様にどう説明するかに結び付けて考えることができたようです。
②尿検査
尿検査は、ウロペーパー®という尿試験検査薬を使って尿のpHや、尿中にブドウ糖や蛋白質、血液などが混じっていないかを調べます。演習ではA~Eの5種類の模擬尿を使って、尿を取り扱う際の注意点、検査結果から何が考えられるか検討しました。
この検査は、尿にウロペーパーを浸したあと、0秒(直後)、10秒後、30秒後、60秒後というタイミングで色調を見て、判定基準となる色と比較しながら判断していきます。
今回は、6種類の検査を同時にできるウロペーパー®を使ったため、10秒単位で1~2種類の色調の変化や程度を瞬時に判断する必要がありました。それは想像以上に難しかったようで、「どっちの色かな?」、「えっ!もう30秒⁉」、「次は何見るんだっけ?」とアタフタしながらも、タイマー係、記録係、判定係とメンバーで協力しながら繰り返しチャレンジしていました。
実は、この『模擬尿』、教員の手作りです。先生方は演習の前日、密かに、大変な思いをして作成しました。『模擬尿』の材料は・・・秘密です(^_-)-☆
③12誘導心電図
12誘導心電図とは、胸部6ヶ所、両手首、両足首の計10ヶ所に電極を取り付けて、心臓に流れる電流を調べ、心臓の収縮や拡張に異常がないかを見る検査です。一般的な健康診断でも行われる検査で、不整脈や狭心症、心筋梗塞などの心疾患の診断や、電解質異常などが把握できます。
12誘導心電図で正しいデータを得るためには、正しい位置にしっかり電極を装着することが重要です。このモデル人形は、電極が「正しい位置にしっかり」装着できているかを判定することができる優れものなんです!
演習では、モデル人形(シミュレーター)に心電図の電極を装着してみました。電極が正しく装着でき、心電図の波形が確認できるまで何度もトライしました。
順番を待つ間は、心電図の異常波形(危険な不整脈)についてみんなで学習しました。
実際にやってみるまでは「電極を装着するのは簡単そう」と思っていたそうですが、吸盤を密着させるのは思った以上に難しいことや、両手首・両足首に装着する電極の向きも重要なことに気づきました。
また、胸を露出した状態で電極を付けなければならないため、患者様が恥ずかしくないように配慮し、身体が冷えないよう保温に努めなければならないことを学びました。
今回の演習では、苦戦しながらも、みんな真剣な眼差しでグループメンバーと協力しながら学んでいました。また、体験を通して検査を受ける患者様の不安や苦痛をイメージすることができ、看護師として何を観察しなくてはならないか、どのような配慮や援助が必要なのかについても考える機会となりました。
これからの講義でも、たくさんの検査に出会うと思いますが、患者様をできるだけ具体的にイメージし、看護の視点から手順や配慮を考える力を身につけて欲しいと願っています。
3年ぶりの対面!西女OG保健師交流会を再開しました。
西南女学院大学保健福祉学部看護学科では、看護師免許に加え、選択で保健師免許が取得できます。毎年、学生と保健師として活躍している卒業生(OG)との交流会を行ってきましたが、COVID‐19の影響で、今年は3年ぶりに開催となりました。
まずは、Part1.「卒業生保健師交流会」です。
この交流会は、新人保健師として人生のスタートをきった卒業生が、今後も職務を継続していけるよう、先輩OGとの交流を通して、学びを深めていく企画です。
職場は違っても、新卒保健師としての悩みは同じ。学び舎に帰って思いを語り、先輩OGは新人当時を思い出しながら助言して、暖かく素敵な交流のひとときを過ごしました。
Part2は、「現役学生とOG保健師との交流会」です。
この時期、西南女学院大学保健福祉学部看護学科の2年生は将来を見据えたコース選択を、3年生は就活を考えています。そのため、保健師を目指す2年生、そして保健師課程で学びを深めている3年生が、OG保健師との交流を通して、看護職として社会に貢献する将来像を考えるきっかけとする企画です。過去、同じ道を辿ってきたOGの経験やアドバイスはとても心強いものです。最初は緊張して教室に入ってきた現役学生。OG保健師は、住民の皆さんの健康相談・健康教育を日々行っているスキルを発揮し、すぐに和やかな雰囲気をつくりだし、活発な交流会になりました。
JR西日本、山口県、北九州市で働く先輩OGは仕事の紹介を、1年目の新卒OGは保健師課程学生の講義や実習の流れ、新人保健師の仕事の一日、保健師になって嬉しかったことをプレゼンしました。
その後、現役学生とOGの座談会では、OGからの優しい声かけに、次々質問がでて、学生は貴重なアドバイスをしっかりとメモしていました。そして情報交換会は、交流会終了後のライン交換へとつながりました。

高校生の皆さん!保健師として、地域で暮らす人々や企業で働く人の健康を支える仕事をしてみませんか?
西南女学院大学保健福祉学部看護学科では、先輩とのつながりを大切にしながら、皆さんが看護職になる夢をサポートする教育を行っています。一緒に未来の扉を開きましょう!
保健福祉学部開設30周年キックオフ企画:上野千鶴子先生の特別講演会を開催!!
11月23日(祝・水)
東京大学名誉教授・認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長である
上野千鶴子先生の講演「次の100年に向けて社会のリーダーを育てる女子大学教育の意義」を開催しました。
今回は、上野先生がお怪我で福岡へお越しいただくことができなかったため、会場と東京の上野先生とをオンラインでつなぎ、リアルタイム中継となりました。
会場には、西南女学院大学保健福祉学部(看護学科・福祉学科・栄養学科)の学生や教職員、また外部からの参加者も来てくださり、オンラインでも多くの方にご参加いただきました。
上野先生はまず西南女学院が100周年を迎えたことについて、100年前の日本の女性の立場や女子教育への社会的認識に触れ、「100年前に西南女学院、つまりキリスト教系の女子学校で学んだ人達は決して大人しいお嬢様ばかりでなく、新しい物好きの好奇心に富み、跳ねっ返りの活発な女の子だったのでは?」と上野節を交えたお祝いの言葉をいただきました。
講演では、女性の社会進出やそれに伴う課題、これからの社会を生きていくための知恵や考え方など、女子大学教育の意義に関して、社会学のデータを示しながらお話しいただきました。
さらに、講演では上野節が炸裂。未来をよくするために「わきまえない女」「めんどうくさい女」になれ、と自分で考え行動し、責任を持つ自律した女性像を示してくださいました。
上野先生の知的でユーモア溢れる、聞いている人を飽きさせない展開に参加者はひきつけられていました。
講演後には、複数の学科の学生からの様々な質問があり、活発な質疑応答の時間となりました。
質問の中には、「女子大学の学生だからこその悩み」や「今後のキャリアアップに関するアドバイスを求める学生」がいました。
上野先生は学生の質問ひとつひとつに対してご丁寧に対応していただき、良い刺激を得ることができました。
学生からは、
「これから自分の夢に向かって頑張る力をもらいました。」
「自分の意見を持つ強い女性になりたいです。」
「人に流されず自分という存在を持ち、自分らしく生きていきたいと感じました。」
「間違っていることに対して違うときちんと言える大人の女性になりたい。」
といった感想があり、今後の希望や夢に向かって前に進む力をいただきました。
ここ近年、世界では戦争やコロナウイルス感染症の流行など予測していなかったことが起きています。
そのような世界に立ち向かうには、何が必要なのか。
様々な価値観に触れ、学び続けることの重要性を改めて考える事ができました。
学生と教職員が共に学び、成長し続けていけるように努めていきたいと思います。
上野先生、貴重なご講演をしていただき大変感謝申し上げます。
いつか、直接お会いできることを楽しみにしております。